2017年5月17日水曜日

未収録論文 ⑪


解釈―共同注視の延長として

2015年6月12日(東京) 精神分析協会東京大会にて発表


1.技法の概要

 解釈とは、精神分析事典によれば「分析的手続きにより、被分析者がそれ以前には意識していなかった心の内容やあり方について了解し、それを意識させるために行う言語的な理解の提示あるいは説明である。つまり、以前はそれ以上の意味がないと被分析者に思われていた言動に,無意識の重要な意味を発見し,意識してもらおうとする、もっぱら分析家の側からなされる発言である」(北山修、精神分析辞典)と定義されます。ただし解釈をどの程度広く取るかについては分析家により種々の立場があると言えます。直面化や明確化を含む場合もあれば、治療状況における分析家の発言をすべて解釈とする立場すらあります(Sandler, et al 1992)。
 精神分析において、フロイトにより示された解釈の概念は、二つの意義を持っていたと私は考えます。一つにはそれが分析的な治療のもっとも本質的でかつ重要な治療的介入として定められたことです。そしてもう一つは解釈以外の介入、すなわちフロイトが「suggestion 示唆(ないし暗示)」と言い表したさまざまな治療的要素とは、明確に区別されるものという意義があります。ちなみにこの示唆に含まれるものとしては、人間としての治療者が患者に対して与える実に様々な影響が、その候補として挙げられます(Safran, 2009) 。 ともかくも私たちは分析的な治療を行う限りは、解釈的な介入をしっかり行っているのか、という思考を常に働かせているといえるでしょう。
  (この後も延々と続くので、きりがないので省略)