2017年3月29日水曜日

精神療法の強度 推敲 ⑩

2「決めつけない態度」もやはり治療構造の一部である
「心の動かし方」のもう一つの留意点は、は決め付けない態度、ということです。Aさんの場合も、Bさんの場合も、かなり世間から虐げられ、誤解を受け、辛い思いをしてきたということが伺えます。人からこんなことを指摘されるのではないか、こういうところを疎ましがられているのではないか、ということが感じられます。・・・ 彼らは少なくとも私が厳しいことや、彼らがそれなりにも持っているプライドを傷つけるようなことは言わないことを知っています。私は「●●●●●?」とは特に言いませんし、お説教じみたことは私の発想には全くありません。私は彼らを直そうと躍起となるつもりもなく、彼らがこれからもずっと補助を受け続けなくてはいけない事情をよくわかっています。彼らの中に深刻な孤独感と対象希求があるのをわかっているつもりです。・・・ 私にとって決めつけないというのは構造の一つです。それはスパーリングで言えば、そこに遊びはあっても、基本的にはミットが選手の痛めている右わき腹や狙われやすいアッパーカットを打ち込むということはありません。その安心感があるからこそ、私のミットのちょっと意表をついた動きはスリルにつながるのでしょう。