2016年9月21日水曜日

退行 ①


退行についても書きはじめなくてはならない。症例としては、母親と一緒でないと外出すら出来ないケースについて書くか。それと対象に対する依存症的な関係と退行についても大きなテーマになるだろう。甘えとの関連、ARISEの概念、創造性との関連、悪性の退行の概念など、論じるべきことは多くあるだろう。解離状態における退行の相当物といえば、子供人格への交代現象があげられるかもしれない。
さっそく精神分析辞典を調べてみよう。いろいろムズカシイことが延々と書いてある。しかも執筆担当は小此木先生だ。彼のことだから、ほとんど資料に具体的に当ることなく、そらで書いている可能性がある。

退行は,それまでに発達した状態や,より分化した機能あるいは体制が,それ以前のより低次の状態や,より未分化な機能ないし体制に逆戻りすることをいう。フロイトFreudS は,失語症の研究(1891)を通して,このジャクソンJacksonJ. H.の進行 evolution と解体 dissolution の理論から影響を受け,退行は,精神分析によって観察された現象を説明する基本概念の一つになった。(小此木、精神分析学事典、岩崎学術出版社、以下同様)

フムフム。ここら辺はわからないことはない。要するに人間の心を脳の立場から見る人は昔からいて、もともとその考えからきているということだ。フロイトは心の探究者であると同時に脳の探究者でもあったからな。

最初に解明されたのは,夢判断 (1900) における「局所的退行 topographic  regression で,神経組織の分化,発達に伴う精神機能の発達が,覚醒状態では保たれているが,睡眠状態では退行し,覚醒時の思考では,知覚系から生じた心的興奮が心的装置において記憶系を通って随意運動を支配する前意識系に至るが,睡眠中は,この心的興奮の進行順序が逆行して知覚系の興奮による視覚像として現れると考えられる。このような局所的退行は,幻覚についても当てはまる。

ここらへん、現代の脳科学的にはどうなんだろ?