2015年7月23日木曜日

自己愛(ナル)な人(41/100)

E教授は勘違い男だったわけだが、では男性がそこそこ、あるいはかなりのモテ男だったらどうだろうか?事態はかなり厄介になる。権力にすり寄る女性はその分だけ多くなり、本人の勘違いもそれだけ深刻になる。
 私がよく例に出す米国のクリントン元大統領は、それに該当する人だった。もう一度登場していただこう。 タイムマガジンの記事を参考にする。
Bill Clinton By Claire SuddathThursday, Jan. 21, 2010Time Magazine電子版)

モニカ・ルインスキー氏だけが、クリントン元大統領の個人的な生活を公のもとにさらした女性ではなかった。もう一人話題となったジェニファー・フラワー女史は、1977年に、将来の大統領がアーカンサー州の知事だった時代に、ニュースレポーターとして彼に出会っている。彼女はそれからクリントン氏と12年間関係を結び、州の仕事を紹介されたこともあったという。フラワー氏は、クリントンが1992年に大統領候補だった時にこのことを明らかにし、クリントン氏は「シックスティミニッツ」という米国の有名なニュース番組で、それを否定している。フラワー氏はその後クリントン氏との電話の会話をテープに収めたものを公にし<ヒエー!>、それをクリントン氏は最終的に認めたのだが、それは1998年の裁判の席であった。この時クリントン氏は、アーカンサ―州の公務員であったポーラ・ジョーンズ女史にセクハラで訴えられていたのである<もうアウトだな>。
ポーラ・ジョーンズのケースは、何しろ彼が大統領のときに始まった裁判なので、クリントン氏は大恥をかいたことになるが、あくまでも性的な関係を彼女と持ったことを否定。しかし結局巨額の金を払って和解したのだから怪しい、というより真っ黒である。
このようにクリントン氏のウーマナイザーぶりはよく知られるようになったが、それでも1996年には大統領に再選された。そしてルインスキーのケースで万事休すとなったわけである。
 2005年には、“Their Lives: The Women Targeted by the Clinton Machine” Candice E. JacksonWorld Ahead Pub. )という本が出版された。この本には、クリントン氏とかかわりを持った(持たされた)7人の女性のことが詳しく書かれている。その中には、クリントン氏に襲われたassaulted という女性の証言もある。

クリントン氏の話が「普通の」ウーメナイザーと異なるのは、クリントン氏がきわめてチャーミングな側面を併せ持っていたことだろう。長身でハンサム、きわめて頭の切れる彼は、女性をかどわかすことにも命を懸けていたというところがある。それを妻のヒラリー氏はよくわかっていた。彼らの結婚生活は、最初の頃からクリントン氏の女癖の悪さに彩られていた。しかし何度も離婚の危機を迎えながら、ヒラリー氏がクリントン氏と別れなかったのは、彼女なりの計算があったと言われる。彼女自身の政治的な野心である。ヒラリー氏は結局彼と一緒に居続けることを選択し、次々と明らかになる夫のスキャンダルの火消しに躍起となった。大統領時代にはそこに彼らを取り巻くスタッフの強引なもみ消し工作が加わったことは容易に想像できる。結果としてクリントン氏のウーマナイザーぶりが彼自身の妻の歪んだ「寛容さ」により助長されていたとすれば、なんと皮肉なことではないか。