2014年5月27日火曜日

解離の治療論 (40)欧米における解離の治療論(14)


 2段階 直面化、徹底操作、トラウマ記憶の取り入れ
ここくらい全面的に自分で書くか。「ガイドラインによれば、第2段階での目標は直面化とトラウマ記憶の取入れである。1段階は、「安全性の確保、安定化、症状の軽減」だったから、これとのコントラストも必要になってくるな。基本的には、第1段階では十分に触れることのなかった患者さんの外傷記憶に関わっていく、ということになる。理屈ではそうである。というかトラウマ理論に沿った治療論となるとそうなるであろう。あるいは精神分析的な方針に従った、と言ってもいい。まずはトラウマそのものには触れず、安定化をさせ、次に治療関係が成立したらいよいよトラウマそのものにメスを入れる、という。でも治療としてはもっと淡々と、特に第一段階から第2段階にはっきり切れ目をつけてというわけではないだろう。というよりは、第一段階のプロセスがずっと続いていく、という雰囲気だ。特にトラウマをことさら扱うのだろうか?というか解離性障害はトラウマ理論に沿って行うべきだろうか?第1段階で安定化させなくてはならない症状が出ている、ということは、トラウマを抱えた別人格を扱う機会が多いということではないか。ということはトラウマを扱うのは第1段階で一番多いということになるのではないか?私の思う第2段階はこうだ(ということはもちろん第1段階も書き換えが必要になるが。)
2段階においては、人格間の交代は頻発しなくなり、主人格との治療関係性が深まる。それとともに主人格が幅広い感情を体験できるようになり、過去のトラウマについての取り扱いも、人格交代を起こすことなく行うことが出来るようになる。
なんだかずいぶん違ってきたじゃないか。ということは第1段階もこういうことになる。「第1段階においては、安全な環境を提供しつつ、さまざまな交代人格に表現の機会を提供し、それらの減圧を図る。治療者は患者とともに別の人格により表現されたものを互いに共有するための努力を払う。時にはそれぞれの筆記したものを一つのノートにまとめたり、生活史年表を作成したりという努力が必要となろう。」途中の「減圧」はヘンな言い方だし、これから推敲が必要だが、要するにその主張を十分に聞き、表に出たい、という圧力を減らす(「減圧を図る」)ということなのだ。実はこの部分、解離の識者からは反対の意見が出る可能性が高い。何しろ解離の治療は、「触らないこと」という思い込みが強いからだ。子供に人格は相手にせず。しかし臨床家意見を経てますます思うのだが、「出癖」は神話である。むしろ必要なのは、減圧、なのだ。

2段階を書き足していく。「主人格を選定し、治療関係を結ぶことにはときには困難が伴う。23の人格の共存や競合が避けられない場合が少なくないからである。すると治療の目標はいかにそれらが平和的に共存していくかについてのグループプロセスの様相を呈することもある。」