2014年3月20日木曜日

続・解離の治療論(3)

なるほど、(3)が抜けていた。


     「できるだけ無視する」は正解なのか?-「子供の人格」の扱い方

解離の治療を論じるにあたって、まずは出来るだけわかりやすいテーマからはじめようと思う。最初に選ぶのが、「子供の人格が出てきたら、どのように扱うべきだろうか?」というテーマである。
 解離の治療においては、ある種の普遍的な問題意識がある。それは患者の示す解離症状を取り扱うことで、解離症状を悪化させてしまうのではないか、という問題意識である。そしてそれが最も端的な形で扱割るのが、実際に出現した子どもの人格を治療者がどのように取り扱うべきか、という問題である。

 この問題についての数多くの治療者の結論は、すでに出ているようである。最も典型的な精神科医ないしは心理士の反応は、次のようなものである。それは患者本人に、というよりはその家族に対して告げられる。
「子どもの人格をまともに取り扱うことで、その人格はずっと出るようになってしまいます。だから子どもの人格は、できるだけ無視してください。」
この種の回答は、たとえ治療者の側が解離性障害の治療を十分に経験し、それに精通していなくても、かなりの確信と自信を持って語られるようである。

私のこの最初の章でのテーマは、このような提言が正しいか間違っているか、という単純なものではない。ただしそれでもこの種の治療者の主張は多くの場合思慮を書いたものであり、治療的とは言えないものなのである。