2014年1月29日水曜日

職場におけるいわゆる「新型うつ病」について(2)

 それにしても最近急に増えている(らしい)新型うつ病。日本のうつ病のオーソリティーたちはどのような程度表明をしているのか?
日本うつ病学会の立場
うつ病学会ではそのホームページで次のような提言を行っている。「そもそも新型うつ病という専門用語はありません」[世間で新型うつと呼ばれているものの特徴は、]若者背愛に多く、全体に警鐘である。訴える症状は、軽症のうつ病との判別が難しい。仕事では抑うつ的になる、あるいは仕事を回避する傾向がある。ところが余暇は楽しく過ごせる、仕事は学業上の困難をきっかけに発病する。患者の病前性格として成熟度が低く、規範や秩序、あるいは他者への配慮に乏しい。」(日本うつ病学会)
なんだかわかったようなわからないような姿勢だ。新型うつ病は正式にはない、でも実はある。こんな特徴がある、みたいな。
うつ病学会でこのような立場をとるのには理由がある。では従来の精神医学的な診断として同様のものがあったからだ。昔から精神科ではうつ病を二つに分けるという習慣があった。一つは本物のうつ病、もう一つは性格的なもの。前者はちゃんとした病気。後者は落ち込みやすい性格の人が、また落ち込んじゃっている状態。病気というよりも本人のせい。本人の性格的な弱さの表れだ、というわけである。
これは日本の精神医学だけではない。米国の診断基準であるDSMでは形を変えた形でずっと存在していた。それが非定型うつというやつだ。
 その前に「定型的」な鬱について復習しよう。それは「大うつ病major depression」と呼ばれる。大うつ病、というとダイオウイカ、みたいですごそうな印象を持つが、要するに「深刻な」「本格的な」というニュワンスだ。といってもmajor leagueメジャーリーグのことを、「深刻リーグ」「本格リーグ」とは言わないな。やはり「大リーグ」じゃないと。じゃ、「大うつ病」もいいとするか。ともかくこの「深刻な」正式なうつ病の主な症状 (DSM-Ⅳの診断基準)
以下の項目のうち5つ以上に該当し2週間以上その症状が続く場合、うつ病が疑われる。             
<大うつ病の主な症状(DSM-Ⅳの診断基準)
悲しみ   毎日のように悲しい、空虚感、憂うつな気分、涙が出やすい
興味 これまで楽しかったことが楽しくない、興味・喜びの減退
罪悪感   過度の罪悪感、ものごとに対する無意味感、無価値感
エネルギー 疲労感、気力の減退、やる気が起こらない
集中力 思考力、集中力の減退、決断することができない
食欲 著しい体重または食欲の減少、増加
精神運動 落ち着かない、または著しく緩慢(他人から見てもわかる状態)
睡眠 寝てばかりいる、または眠れない、夜中に何度も起きてしまう
自殺願望 死について何度も考える、生きる意味がない、消えてしまいたい
他方、非定型のうつはどうか。
<非定型うつ病の主な症状(DSM-Ⅳの診断基準)
上記の「うつ病の主な症状」の条件を満たした上で、次のA、Bの条件を満たす場合、非定型うつ病であることが疑われる。   
A.気分反応性がある(現実の、または可能性のある楽しいできごとに反応して気分が明るくなる)
B.次の特徴のうち2つ以上に当てはまる
① 著しい体重増加または食欲の増加がある
② 過眠傾向がある
③ 身体が鉛のように重くなる
④ ちょっとしたことで拒絶されたと感じて傷つき、長期間、人とかかわることを拒む