2013年12月11日水曜日

「難しい親たち」とパーソナリティ障害の問題(10)

結局ぐずぐずしているMPPD問題。編集者側の提案したテーマである(ナンのことだ?)「PDの傾向を持つ(未熟で他罰的な)親たち」になかなか添えない。しかし少なくともこれまで取り寄せたMP関係の著書(といってもアマゾンで買った4、5冊だけだが)に、そこらへんにはっきり触れたものはない。いずれもほのめかし程度である。それはそうかもしれない。「MPの増加傾向は、親のパーソナリティの未熟さや他罰傾向のせいである」ということはとても難しい。いくつか理由を上げよう。
1.      この10年程度で親の未熟さや他罰傾向がいきなり進むという現象を説明しにくい。
2.      「親」の年代に幅がある。そのため~時代(例えば共通一次試験世代、など)の親がそのような性格傾向を持つに至った、という説明がしにくい。これに関しては、それこそモンスター化が親についてだけでなく、カスタマー、患者等にも広がり、幅広い年齢層に及んでいることからも難しいことがわかる。
3.      MPの親たちが、学校以外の場所で同様のモンスターぶりをはっきりしているとは限らず、PDが有するべき恒常性に該当しない。これに関してはMP立ちが通常は社会でそれなりに適応し、家庭を気づき、家族の構成員ともそれなりに適応している場合が多いことからも言える。
こんなところか?ちなみにこの問題、昨今の「新型うつ病」とかぶるところがないわけではないという気がする。こちらの方もここ10~15年と同様の時期に増えつつあることになっているが、同様に人格の未熟さ、他罰傾向が問題とされる。ただしこちらの場合は20代、30代のどちらかといえばヤングアダルトの世代が該当するように言われている。MP達とはひと世代若いと言えるだろうか?仕事場でかなり若く、入っても長続きせず、ちょっとした叱責で落ち込んだりふてくされたりする若者、という触れ込みになっている。未熟さ、他罰傾向がこちらに当てはまるかはわからないが、MPよりは説得力がある気がしないでもない。
 こうやって書いているとわかるが、私はこの「現代人の未熟さ、他罰傾向」という議論は好きではないのだ。精神科医としては議論が大雑把すぎる気がする。
ということで私の議論は結局いつものパターンになっていく。以下は全くの私論ということで。

MPにおいて人の「未熟さ、他罰傾向」が表現されている、ということについては特に異論がない。しかし考えてみれば、MPなんだから、「他罰」は同語反復的だけど。