2013年8月23日金曜日

解離の初回面接(3)

今朝は朝から頭の中で「圭子の夢は夜ひらく」が何度もまわっている。亡くなった藤圭子さんに合掌・・・・・

現病歴を聞く
解離性障害の現病歴は他の障害にない特徴がある。それはおそらく多くの場合、生活歴との区別が明確でないということである。(もちろん発達障害に関してもこれは当てはまることになる。)通常は現病歴は発症あるいはその前駆期から始まるが、解離性障害の場合、それをいつの時期と定めるかが決して容易ではないことが多い。もしそれを解離症状の始まりの時期としてとらえるとしたら、それこそ物心つく前に遡る必要すらあることになる。たとえ明確な人格の交代現象が思春期以降に始まったとしても、誰かの声を頭の中で聴いていたという体験や、実在しないはずの人影が見え隠れしていたという記憶が幼児期に遡ることは少なくない。また学童期にすでに自分が自分の体から離れて感じられた体験(いわゆる「幽体離脱体験」)、周囲に幕がかかって遠く感じられた体験(いわゆる「現実感喪失体験」)を一過性に体験しているということも多いであろう。ただし通常は、解離性障害の現病歴の開始を、日常生活に支障をきたすような解離症状が始まった時点におくのが通常である。(だめだ。論文口調を止められない。)

もちろん解離性障害の中には、成育歴上の解離症状が見当たらない場合もあり、その場合は現病歴の開始時を特定するのはそれだけ容易になる。たとえば解離性遁走の場合は突然の遁走が生じた時が事実上の解離症状の始まりであることが多い。また転換性障害についても身体症状の開始以前に解離性の症状が見られないことが多い。とはいえ解離性同一性障害の場合には、遁走や転換性障害はその症状の広いスペクトラムの一部として生じ、かつ幼少時にさかのぼる部分的な解離症状を見出すことが出来るのが通例である。(もう今日はやめておこう。)