2013年7月31日水曜日

日本におけるセクシュアリティのあり方 (3)

見るなの禁止は誘惑を意図したものか?

まずは非常に原則的なことから論じよう。世の法律に「~してはならない」という禁止事項は膨大に記載されているはずだ。そしてそれは禁止することで余計人々を誘惑することを意図しているわけでは決してない。当たり前の話であろう。為政者は、覗き、盗撮を禁止することで一般市民を誘惑する(「劣情をあおる」)ことを意図してはいない。たとえば
軽犯罪法第1条:左の各号の一に該当する者は、拘留又は科料に処する。
23号 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所、その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者。
ただし最近頻繁にニュースをにぎわす「盗撮」は刑法で定められた罪名ではなく,地方自治体で制定されるいわゆる「迷惑防止条例」で取締りが行われる。
この盗撮がどうして最近増えているのであろうか?携帯電話の録画機能が高まるにつれて盗撮の件数は増加傾向にあると考えるべきであろう。女性の露出が増えて盗撮が容易になる分だけ、盗撮の件数が増えているという可能性はどうか?
これを書いている途中に思い出した。先日、728()は札幌で外来精神医学会のシンポジウムに参加する機会があったが、そこで榎本クリニックの榎本稔先生が司会をしておられた。榎本先生はアルコール依存症のほかにも性犯罪の加害者の治療にも携わっていらっしゃるが、その先生がおっしゃっていたことが興味深かった。彼によれば日本でしばしば報道される盗撮については、諸外国では問題にならないという。諸外国においては性犯罪はさらに深刻な加害行為(強姦、そのほか)という形を取ることが通常であり、迷惑防止条例で問題にされるような犯罪はむしろ少ないという。そして日本においては相対的に強姦が少ないといわれる。
(以下略)