2010年12月2日木曜日

精神科医のデンタルIQ

市川海老蔵の事はやはり気になる。もちろん彼の身になったらどう感じるだろう、という意味でであるが、今秋放映されたNHKの「プロフェッショナルたち」で確かに彼は、「人がどう思っているかは気にならない」と言っていた。つまり彼はこんな目にあって大変だろう、という私の思いと、彼自身の主観的な体験とはまったく異なる可能性があるだろう。とはいえ自業自得だと人はいうかもしれないが、自分の怪我でたくさんのファンに迷惑をかけたことを痛みに感じない人はいないはずだ。

さて今日の話。かつてあるパーティで、カリフォルニアで開業していた日本人の歯科医から、デンタルIQという話を聞いた。彼らはそんな概念を持っているらしい。「あの患者は、デンタルIQ低くてね。」とか仲間同士で言い合っているのかもしれない。
今気になって、“dental IQ” というキーワードで検索してみると、そのテストまであるではないか?
http://www.hooah4health.com/prevention/disease/dentaldisease/docs/What_is_Your_Dental_IQ.pdf (「デンタルIQテスト」??)
私が知る限り最もこのdental IQ が最も低い部類に属するのが、毛沢東である。彼の主治医による伝記(Li Zhi-Sui :The Private Life of Chairman Mao Random House, 1996) には、彼の口の中の事情が書いてあり、かなりショッキングだった。そもそも歯を磨く習慣がない彼の口の中がどれほど苔むしていたかは、想像ができない。毛沢東の主治医であった著者の観察では、中は緑色で歯も見えなかったとか書いてあった。口臭なども想像するだけでも・・・・・。
さて私も相当デンタルIQは低い方なはずだ。熱心に歯を磨かないからだ。まあ平均一日一回は最低磨くが、定時でなく思い立ったとき、それもテキトーな磨き方、である。そしてこれには理由がある。私の歯は、年齢とともに着実に崩壊している。幸い歯周囲炎はあまり目立っていないが、虫歯菌(「ミュータンス菌」、とか言うそうな)は非常にゆっくりと、しかし着実に私の歯を溶かし続けている。そしてそれがいかに私ががんばって歯磨きをしたかとは関係ないようである。

実は私もかつて何度か、歯磨きをがんばったことがある。今日から毎日きちんきちんと磨けば、もう歯医者でいたい思いをし、高いクラウンで散在しなくてもいいのだ。そして半年がんばって磨き、年二回のチェックに訪れたときに、また新たな虫歯を二本指摘されたときの落胆。それを歯科医に言うと、もちろん「磨き方が悪いからです。」といわれる。そりゃそうかもしれない。しかしこんなことが2度ほどあって、私は確信したのである。どんなことがあっても、私の虫歯は進行する。がんばって歯を磨けば、その進行をほんの少し遅くするかもしれない。でも結局は進行して、その結果クラウンをかぶる歯が増えていく。幸い一度クラウンをかぶった歯はその後は無事である。ということは歯磨きをそんなに熱心にやらなくたって、全部クラウンになったら、もう歯医者とは縁を切れるのではないか。これは私の本音だが、歯科医からすれば、私のデンタルIQは、40くらいだといわれてしまうだろう。
私は最近日本人がこれまで以上に歯磨きに熱心になっていると感じる。人のことは放っておきたいのだが、人はなぜ歯を磨くときに鏡でそれを見る習慣があるのだろうか? お手洗いで鏡の前をあまり占領されてしまうと、気の弱い私は手も洗わないで出てきてしまう。こんなことが重なると私のデンタルIQはもっと下がってしまいそうである。