2010年12月14日火曜日

シリーズ「怠け病」はあるのか? その7

新型うつ病、ないしは現代型うつ病とは何か?名前からしていかにも一見新しそうな概念であるが、従来「非定型のうつ病」としてDSMなどに記載されているものと非常に近い。というか同じものといっていいだろう。うつには、メランコリー型と、非定型が分類されている。DSMの今のスタイルはDSM-Ⅲに始まるから、1980年以来、つまりもう30年も前からこの分類があることになる。新型うつ病は、特に「新しい」タイプのうつということでもないのだ。

メランコリー型とは、典型的なうつの性質を備えたもの。朝特に憂うつな気分であり、夕方に向かって気分が上向いていく。食欲がなくなり、夜も眠れない、といった点が特徴だ。正真正銘のうつ。誰もこちらのうつになった人を見て「あなた本当にうつ?」とは聞かないだろう。

それに比べて非定型の欝は、 過食、過眠が特徴である上に、rejection sensitivity という特徴がある。日本語にすると「見捨てられ過敏性」というわけだが、つまり人に拒否されたり見捨てられたりすることに敏感で、グーッと気分が落ち込んでくるのである。こちらが、怠け病と一緒にされる。「うつになりました」、といいながらグーグー寝てよく食べて、人にシカトされると落ち込み、ということは声をかけてもらえると気分を直し、という人は、なかなか本物のうつをやんでいる人として同情されないだろう。

実はこの非定型なうつは、昔は「抑うつ神経症」と呼ばれていたものだ。つまりは性格によるうつ、と見られていたという歴史がある。「あの人のうつ、というのは性格の問題だから」、といわれるようなうつと考えられていたということだ。