2010年7月23日金曜日

オタクについて 10 ダニエル・タメット氏の例

実はもう一人私が期待しているASPさんがいる。こちらはかなり有名な人で,私は彼の本を読み,ユーチューブでその実際の表情や物腰を見て気に入った人だ。彼は実に優しく穏やかな印象をあたえるが,その持つサヴァンとしての能力はとてつもない。超能力といった感じがする。ダニエル・タメット31歳。彼の自叙伝“Born on a Blue Day” は日本語で訳されている。(「ぼくには数字が風景に見える」 講談社2007年)
彼は例えば数桁同士の掛け算を、いくつかの色を伴った図形同士の結合のように捉え,二つの図形が混じり合った図形の色と形がそのまま積を示しているという。実際に彼の「計算」の様子を見ていると、紙の上で指先を動かしながら図形をイメージするだけで、決して数字を扱う計算はしていない。

彼には著しいこだわりもあり,例えば毎朝食べるシリアルは,厳密に重さを計量して同じ量を食べるという。その意味で彼は立派なアスペルガー症候群なのだが,でもとても温かく繊細という印象を受ける。しかしもちろん彼の実際の人柄は知らないから、私は「期待」するのである。
実は彼の温かさと彼のホモセクシュアリティーとは関係しているように思える。米国に滞在中常に思っていたことがあるが、細やかな気遣いをする、「日本人的」な白人男性はその多くが男性のパートナーを持っていた。私は彼らの多くが好きで、親交もあった。後にタメット氏の同性愛傾向を知ったとき,彼を映像で見た時の細やかさは,それと関係していたのか,と納得がいったのである。